スタジオ・キャットキック

広告・販促の企画・コピーライティングを手掛ける五十畑裕詞と、猫作家・イラストレーターの梶原美穂が所属する会社です。http://www.catkick.com/

違和感で掴むということ by五十畑

 こちら、今朝の朝日新聞朝刊に掲載されていた全5段の広告。アラクスの定番頭痛薬ブランド「ノーシン」の新商品の告知広告ですが…キャッチフレーズが、まったく医薬品らしくない。

 

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 メッセージだけ取り出すと、クスリのことなんてまったく語っていないわけです。

 新商品の登場を、強い違和感とともに訴求する。こういうやりかたもあるんですよね。でもこういう手法もまた、昨日のシャーク中吊りのように、さまざまな反対意見にあって実現できないことのほうが多い気がします。

 一方で、こんな疑問も湧いてきます。本当に消費者は、「新しい頭痛薬と出会いたがっているのか」ということです。表面的には、誰もそんなもの、求めていないと思います。自分にはノーシンが合う、自分にはセデスが合う、だからいつもこれを買う。そういう思い込みで消費を繰り返すパターンって、実はすごく多い。でもでもよくよく考えてみると、その頭痛薬がホントに自分にとってベストかなんて、わからない。ひょっとしたら、もっといいクスリがあるかもしれない。自分に合っているというのは思い込みに過ぎないのかもしれない。それよりも、医薬界の技術革新に目を向けて新しいクスリを試したほうが、もっといいクスリに出会える確率は高いのかもしれない。

 と書きましたが、慣れたクスリを変えるというのは、ほかの消費財のブランドスイッチよりもはるかにハードルが高い。この広告では、その「ブランドスイッチ」のみに焦点をあてている、ということなのだと思う。

 この手法、新商品の発売直後しか使えないような気がします。今後、このメッセージはどう変容していくのか。注目しようと思います。