スタジオ・キャットキック

広告・販促の企画・コピーライティングを手掛ける五十畑裕詞と、猫作家・イラストレーターの梶原美穂が所属する会社です。http://www.catkick.com/

三鷹市美術ギャラリー「壁に世界をみる ——吉田穂高」

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 

 今年初の投稿は、美術展の話題です。

 吉田穂高。以前、ある企業のカレンダーの企画で作品を使わせていただき、不肖ながらぼくが解説を書いた洋画家/版画家の吉田博の息子さんです。父親とは違いかなり前衛的な作風だとは聞いていたのだけれど、作品を実際に鑑賞したことはありませんでした。驚いたのは、その抽象性、そして時代性。60年代頃の作品は完全な抽象画で、これを主に木版画で展開しているのが二重の驚き。岡本太郎もかくや、というほどの熱いエネルギーと躍動性、そして抽象画には基本的に感じられることが少ない空間性に満ちた、不思議な作風。父親同様に旅好きだったようで、中南米の影響があるようなのですが、正直言って作品からではまったくわからない。そして70年代以降は、池田満寿夫横尾忠則のような具象性があるのに異質な感覚に満ちた「ここなんだけど、ここじゃない」という雰囲気の作品が多くなります。この時代の空気を感じました。こちらは木版に写真印刷の亜鉛凸版という技術を組み合わせた独自の手法を用いているそうです。コラージュの作品も多かったなあ。

 穂高氏が自分の作風を確立させるまでの道のりも感じられて、とてもいい企画展でした。

mitaka-sportsandculture.or.jp

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